Vol.24 お金持ちになるより前に・・・
Q.来春に結婚することになりました。(^^)v すごくうれしいんですがその反面、責任感も感じます。これからお金のこともちゃんと考えなきゃいけませんよね。「お金持ちになりたい!」とまでは言わないので、これからの人生、お金に困らないための心得とかルールとかがあったら教えてください。(Dさん、27歳、会社員)
おめでとうございます。(^_^)/ このDさんのように結婚とか、あるいは就職するとか子どもが生まれるなんていうときは、自分の人生を改めて考えるいいチャンスです。ぜひついでにお金のことも見直してみてくださいね。
さて、「お金に困らないためのルール」ですか…。たしかに、「お金持ちになるためのルール」なんていう本はたくさんありますが、「お金に困らないため・貧乏にならないため」のルールを解説してくれるものは、地味なのでなかなか見つからないのかもしれません。
でも、目標が壮大でない分、シンプルで当たり前のことが多く、習慣化しやすいともいえます。
このコラムを読んでくださっているあなたが、正しいお金の習慣を身につけ、よりお金とうまくつき合うためにも、さっそくご紹介していきましょう。
ほとんどの人にとって、最大の資本は自分自身であり、仕事は最大の収入源であるはずです。仕事からの収入が増えるということは、資産運用の利回りが上向いたのと同じだと考えられますよね。ですから、お金の投資もある程度は大切ですが、あまりにも入れ込んでしまい本業がおろそかになるようなら本末転倒です。また、自分自身の職業能力を高めること=自己投資も非常に重要だといえます。
自分自身が資本だということに気がつけば、これは当たり前のことですね。いくらお金が大切だからといって、節約しすぎて身体をこわしてしまったら笑うに笑えません。ある調査によれば、生活保護の受給開始の理由は、その40%近くが世帯主の病気やケガによる所得の減少が原因だとのこと。ですから、健康を維持するために運動したり、食事に気をつかったりするというのも立派な自己投資のひとつですね。
自分の収入の範囲内で生活する、というのは当然のことなのですが、意外とできていない人が多いのです。人は少し金回りがよくなると、ブランド品や高級腕時計、外車などを買いたがります。しかもローンを組んで(笑)。そういった高級品は「お金持ちになった気分」にはさせてくれますが、当然のことながら、それらを持ったところで本当にお金持ちになれるわけではありません。高級品を持つことがあなた自身の人生の喜びであるなら仕方がありませんが、少し立ち止まって自分の価値観に本当に合ったものにお金を使いましょう。むろん節約も大切ですね。
また、借金はできるだけ避けましょう。家を買うときも自己資金を充分に貯めてから。ギリギリのローン計画を立てるなんてことはしないでください。
せっかく貯めた老後の資金を、すっかり騙し取られた…なんて話、よくニュース等で耳にしますよね。「お金に困らないため・貧乏にならないため」には、やっぱり「騙されない」ことが大事です。最初からそんなうまい話が一般の私たちの所に来るはずはないと思ったほうがいいでしょう。儲けるよりも損をしないということのほうが重要なのです。
やはりこれがお金の基本中の基本です。自分の収入と支出、財産や借金をきちんと把握しておきましょう。
そして最後は、誠実であること。本当に困ったときに頼りにできるのはやっぱり家族や友達などの身近な人たちです。いざという時に、日頃の行いがたたって誰にも助けてもらえなかった…、なんてことにならないように人間性も磨いておきましょうね~。
・人生の節目はお金のことを改めて考えるチャンスです
・自分が資本であり、仕事が最大の収入源、今のあなたの仕事を大切にしましょう
・お金に困らないためには儲けるよりも損をしないほうが重要、守りを固めましょう
・最後はやっぱり信頼関係です。人にも自分にも誠実に接しましょう
作者: トマス・J. スタンリー, ウィリアム・D. ダンコ
出版社/メーカー: 早川書房
価格: ¥2,100 (税込)
アメリカの億万長者を調査し、彼らの本当の生活ぶりとその共通項を紹介した1冊。実際の億万長者たちの暮らしかたは、私たちが持つイメージとは大きく異なり、非常に堅実なもの。それは「お金に困らないため」に大きな参考となるでしょう。
Vol.23 お金のメンタルブロックを外す方法
能力も意欲もあるのに、いざとなると相応の収入が受け取れないという前回の質問者Eさんや、同じようにお金に対して抵抗感がある人のために、今回はお金に対するメンタルブロックの外し方を考えていきましょう。
まず必要なのは、「自分にはお金に対する抵抗感・嫌悪感・ネガティブな感情がある」と気づくことです。「そんなの自分には関係ない」と思っている人も多いかもしれませんが、自らの「癖」に自分では気づかないように、考え方の「癖」の一種であるメンタルブロックに気づかずに生活している人が意外と多いのです。かくいう私も、「そんなものないっ」と固く信じていたのですが、あるカウンセリングセラピーを受けた時、お金にいい加減な母親と、まじめな姉の間で揺れ動いている自分を指摘され、愕然とした覚えがあります。(^^ゞ
そういった自分のメンタルブロックに気づくには、やはり自分に尋ねてみるしかありません。このコラムの4回目に『あなたにとってお金とはなんですか』という質問をしましたね。また、6回目にもあなたのお金に対する価値観を探るワークをしてもらいました。あの時なにか気付いたものがあれば、それを発展させてもらえればけっこうです。でも特に気づいたことがなかったという人、そういう方は再度『あなたにとってお金とはなんですか』という質問に答えてください。前回の答えはせいぜい一言二言だったのではと思いますが、今回はその答えを最低20個、さらに50個でも100個でも考え付く限り書き出しましょう。そうやって強制的に頭から搾り出していると、自分でも思いもよらなかった言葉が現れることがあります。私の場合は「めんどくさいもの」という言葉でした。自分にはお金を面倒なものとしてとらえている部分があるのだなぁと、その時初めて認識しました。心の奥底でそんなふうに思っていたのでは、なかなかお金を受け取りづらくなってしまいますよね。^_^; あなたの答えの中に、そんなネガティブな言葉が現れたら、それは紛れもなくあなたの心の中にある思いです。それに気づいて、今後意識していくだけでも効果がありますよ。
自分の中のお金に対するネガティブな思いや、妙なとらわれに気づいたら、今度はその原因を探っていきましょう。前回、メンタルブロックは幼い頃の経験や両親の影響に基づいて形成されるといいました。ですから、あなたのそのネガティブな思いも、幼少期に刷り込まれた可能性が大きいと思われます。自分にこんな質問をしてみましょう。
・子どもの頃、家庭の経済状況はどうでしたか?
・両親はお金に対してどんな態度を取っていましたか?
・お金に関して、なにか忘れられない思い出はありますか?
…いやなこと、思い出したくないことを思い出させてしまったかもしれませんね。でも、目を背けず、そのときの感情を思い出し、味わってみてください。現在のお金に対する抵抗感の源がそこにあるのかもしれません。そして、充分に味わい尽くしたら、静かにその感情を手放してください。なんとなく、スッキリした気持ちになれましたか?
お金のことに限らず、自分の持つメンタルブロックを壊すのはそうそう簡単にはいかないかもしれませんが、「自分にはそういうところがある」と意識しながら、少しずつ脱ぎ捨てていきましょう。しかし、そのブロックがあまりにも強くて、実生活にまで支障をきたすようなら、コーチやセラピスト、カウンセラーなど専門家の力を借りてみるのもひとつの方法です。
・お金に怖れや嫌悪感を持っていては、高い収入は得にくい
・そういったお金へのメンタルブロックは自分でも気づかないことが多い
・メンタルブロックの形成には幼い頃の経験や両親の言動が影響していることが多い
作者: 栗原 弘美, 鷹野 えみ子
出版社/メーカー: ヴォイス
価格: ¥ 1,890 (税込)
心理セラピストが書いたお金の本。お金とはなにか、豊かさとはなにかなど、「お金」と「こころ」の関係をあらためて見直してみたい人に。
Vol.22 お金のメンタルブロックを外そう
Q.3年前にホームページ作成の仕事で独立しました。おかげさまでポツポツ仕事はきており、朝から晩まで働いているのですがなかなか収入が増えません。なぜかというと、どうしても低い価格で仕事を引き受けてしまうからです。「こんな価格では安すぎる」と思いながらも本来の価格よりもずっと安く見積もってしまう傾向があり、これが原因だとは自分でもよくわかっているのです。どうしたらいいでしょうか?(Eさん、37歳)
どういうわけかこのEさん、条件のいい高収入の仕事が来ても、そういう時にはなぜか自分でも信じられないようなミスをしでかしてしまい、せっかくの仕事を失ってしまうこともあるそうです。よくよく聞いてみると、「お金が欲しい」と思っていながらその一方で「お金」や「お金持ち」に対してよいイメージを持っていないようでした。つまり、無意識のうちに、「多くのお金を得る」ということに抵抗していたようです。
日本人は、比較的お金にシャイな人が多いので、こういったお金に対する心理的な抵抗感=「お金のメンタルブロック」を持っている人がけっこういます。お金に限らず、心の障壁=メンタルブロックは潜在意識に隠れていることが多く、なかなか自分では意識できません。そして、この潜在意識はけっこう強大な影響力を持っており、私たちの実際の生活に大きな影響を与えていることがあるのです。その影響も、このEさんのようにお金を「受け取れない」という人、また「使えない」という人や、逆に「使いすぎてしまう」といった形で表れてくる人もいるのです。
メンタルブロックの例えに、こんな話があります。インドではゾウをつないでおくのに、細いローブを使います。ゾウがその気になればすぐに引きちぎり、逃げ出せるくらいのか弱いものですが、ゾウはおとなしくしています。それは、ゾウに「逃げられない」というメンタルブロックがかかっているからです。ゾウは、調教の時、まず太くて強い、頑丈な杭にくくりつけられます。もちろんそのときは逃げ出そうと抵抗しますが、頑丈な杭はびくともしません。どんなに暴れても逃げ出すことは無理だとわかると、ゾウはそこでもう抵抗することを諦めてしまうのです。そして、二度と暴れなくなります。同じように、人間も、自分の心の中にしかない杭とロープに阻まれて、他人から見たら簡単にできるはずのことを、「自分にはできない」と思い込んでいることがありますよね。
お金に対するメンタルブロックは、幼い頃の経験や両親の影響に基づいて形成されることが多いのです。両親がお金で苦労していたことを見聞きしていれば「お金は苦労しないと手に入らない」とインプットされ、必要以上にキツイ労働を自分に課してしまったり、簡単にお金が手に入ることを許せなくなったりしますし、「お金持ちはずるい人たちだ」と聞かされていれば、自分がお金持ちになることに嫌悪感を抱くようになるでしょう。また、お金をたくさん持つことを恐れるようになるかもしれません。そんなネガティブな感情を隠し持っていては、お金は入ってきませんし、もし入ってきたとしても幸せからは程遠い気持ちになってしまうのではないでしょうか。では、このメンタルブロックを解放し、充分なお金を得て、本当に豊かな気持ちになるためにはどうすればいいのでしょうか?次回はいくつかの方法をご紹介していきます。
・お金に怖れや嫌悪感を持っていては、高い収入は得にくい
・そういったお金へのメンタルブロックは自分でも気づかないことが多い
・メンタルブロックの形成には幼い頃の経験や両親の言動が影響していることが多い
作者: ジェイムズ・L. アダムス
出版社/メーカー: プレジデント社
直接お金には関係ありませんが、「思い込み」を外し自由な発想法を伸ばすための一冊。自分の「考え方の癖」にも気づくことができます。
Vol.21 サイフとこころにやさしい1日
前回、無駄遣いが多いというHさんの金銭感覚を見直すために、海外旅行をオススメしましたが、わざわざ旅行に出るまでもなく、自分の足元を見直す方法があります。
それは、意識的にモノを買わない日を作るということです。
「え~、そんなことで効果があるの?」と思いがちですが、消費社会にいる私たちは、ついつい無意識に買い物していることが多いもの。少し立ち止まって自分のお金の使い方やそのお金による社会との関わりを考えてみる、といった時間も必要です。
実はそんな考え方に基づく「モノを買わない日」活動、世界的な規模で広がっています。
それは「Buy Nothing Day」と呼ばれ、1992年にカナダのアーティストが始めた市民運動で、今では、世界62カ国、100万人以上が参加する国際的なイベントになっているそうです。日本では「無買デー(むばいデー)」と呼ばれ、今年はすでに過ぎてしまいましたが、毎年11月の最終土曜日と決められていて、1年で1日だけ、「余計なモノを買わない日」。そして「消費」について考えてみる日なのです。
その目的は、
・消費社会に必然的に伴う、生産~消費~廃棄という一連の流れに休息を与え、人々の消費中心的なライフスタイルに代替案を示唆する。
・大量消費文化が、社会、経済、環境、および人々の心理へ与える影響に注意を喚起する。
・生態系全体における経済学(GNPによる富の指標ではなく地域と環境に根ざした経済)を促進する。
とのこと。
どちらかというとやはり環境問題的なアプローチになっているようですね。
無買デーには、各団体もいろいろなイベントをするようですが、それよりも、活動の中心は私たちそれぞれの気持ちの中にあります。この日はお金を使わずに楽しむ方法を考えてみる、最近買ったモノに関してその社会的な影響を想像する、モノを買ったことによって本当に自分が幸せになったか確認してみるなど、いろいろ考えてみることに主眼が置かれています。
このように、活動は個人的なものが中心なので、無買デーは決められた日だけではなく、もちろんいつでもいいわけです。月に一回、あるいは週に一回など、買い物を控え、お金について考える日があってもいいですよね。その分節約にもなりますし(笑)。
「モノを買わないと景気に悪いんじゃないの?」とも思いますが、国全体の経済にはそれほどの影響はないとのこと。
ここで、注意してもらいたいのは、「モノを買う」=「消費」自体は決して悪いことではないということです。大切なのはモノやサービスを買う時に、きちんと意識しているか否かということ。中には無買デーが週に3日になり、5日になり、とうとうほとんどモノを買わなくなってしまう人もいるようなのですが、やっぱり大切なのはバランスですね。
「先日買ったものは、本当に必要だったのか?自分の価値観に合ったものだったか?収入に見合った買い物だったか?ちゃんと満足感が得られたのか?社会的にどんな関わりがもてたのか?」等など、どちらかといえば消費依存に偏りがちな私たちにとって、定期的にお金を使わない日をつくり、自分と「お金」との関係を見直す日にあてる、というのも有意義なのではないでしょうか。
それにやっぱり、ショッピングは楽しいこと。意識的にそれを止めてみることで、逆に忘れてしまっていたお買い物の楽しみを思い出す、という効果もあるように思います。
【参考】ムバイデージャパンネットワーク http://www.bndjapan.org/japanese2/index.html
・モノやサービスを買わない日=無買デー
・消費中心のライフスタイルを見直してみる一日
・自分のお金の使い方、関わり方を考える日にしてみよう
作者: 辛酸 なめ子
出版社/メーカー: 集英社
価格: ¥560(税込み)
ショッピングとは癒しなのでしょうか? 買い物にちょっと疲れた人にオススメしたい脱力系の一冊。
Vol.20 節約の裏技?価値観から変えてみる
Q.「お金がない」が口癖のわたし。あまりにもたびたび言っていたらしく、ある時同僚から「Hさんは無駄遣いしすぎよ」と釘を刺されてしまいました。なぜそう思うのか聞いてみたら「お昼に行くコンビニでもぜんぜん値札確認せずに、いろんなもの買いすぎ」「ネットショップで同じ型のバッグ、色違いで8個も買うなんて信じられない」ですって。うーん、お昼はいつも余らせちゃうし、バックもぜんぶ使ってるわけじゃないし…、これってやっぱり無駄遣いなのかしら。こんな金銭感覚、矯正できますか。(Hさん、28歳、会社員)
このHさん、ボーナス前にカードを使いすぎてしまい、支給当日にもう「お金がない」とぼやいていたとか…。基本的に金銭的に甘やかされて育ってきたようですが、その分パパ・ママ銀行(ご両親)がしっかりしているので、カード煉獄にはまるような心配はなさそうです。しかし、将来的にもこの金銭感覚が続くとなるとちょっと不安ですね。今も昔もやっぱり『いつまでもあると思うな、親と金』ですから。
国内にいると、あまり意識できませんが、日本は豊かな国です。店には商品が溢れていますし、1円玉が道に落ちていても拾う人は少ないでしょう。こんな日本の中では、同じような商品なら値段が違ってもせいぜい数百円単位のコンビニで、値札を見ずに買い物することくらい驚くようなことではないのかもしれません。つまり、お金の相対的価値が低くなっている、ということですね。
そんな金銭感覚に刺激を与えるため、休暇で海外に行く時に、円の価値がうんと高い発展途上の国に飛んでみる、という方法があります。もちろん、会社員のHさんに、バックパッカーになって節約旅行しましょう、とはいいません。いつもの観光旅行でかまわないのですが、重要なのは、現地の物価感覚を身につけることです。同じ100円でも、日本国内と海外ではどのくらい違いがあるのか。ただ物価が安いからといって、お大尽気分でたくさん買い物をして喜ぶのではなく、自分の金銭感覚や価値観を見つめなおすという意識を持って旅してください。
そのためには、ホテル内にこもっていたり、スパや高級レストランにばかり行っていては、日本にいるのと変わりませんね。できるだけ市中に出て、現地の人とふれあいたいものです。現地の物価感覚を身につけていれば、買い物の時にあまりにも高い値段をふっかけられるということも防げますし、値段交渉も楽しくなるでしょう。そんな物価感覚を簡単に身につけるために、おススメはコンビニです。その国にコンビニがあればまず入ってみましょう。店内の品物の値札を日本のものと比較しながら眺めれば、だいたいの感覚をつかむことができるでしょう。また、ファーストフードチェーンのハンバーガーも比較のためにはわかりやすい品物ですね。そのハンバーガー1個の値段と、現地の他のものとの値段の比較によってその国での物価基準のようなものがある程度は把握できると思います。
そんなふうに意識していれば、滞在日数が多くなるにつれて、その国の金銭感覚は自然に身についてきます。どんなに物価が安い国でも、より安い店を探すようになればしめたもの。お土産の値引き交渉も真剣さが違ってくるでしょう。(笑)
のんきに観光していても、その国の貧しさがいやおうなく目に入ってくることがあります。いろいろな感情が湧くと思いますが、目を背けずにきちんと見ておきましょう。当然のことながら、一般的に物価の安い国ではそれ以上にそこの人々の給料も安いということです。数十円で食事ができる国では、100円でもずいぶん価値のある金額ということなんですね。何日間かの海外旅行で、あなたの金銭感覚が劇的に変化するとは思いません。しかし、異文化を体験することは、何かを考えるきっかけのひとつにはなるはず。年末年始のお休みに試してみてはいかがでしょうか。
・金銭感覚を揺さぶるには、海外に出てみるのも一案
・大切なのは、日本の金銭感覚を引きずらないこと
・金銭感覚比較のためコンビニやハンバーガーが便利
・日本は豊かな国、忘れずに感謝したいものです
作者: 河本 ぼあら
出版社/メーカー: イカロス出版
価格: ¥1,680 (税込み)
フツーのOLが仕事を捨て、バックパックを背負って世界一周。100都市を巡る300日間の道中記。写真やイラストが多く、眺めているだけで楽しい気分にさせてくれます。
Vol.19 ローン煉獄脱出法 実践編
前回に引き続き、Nさんのローン返済についてのお答えです。今回は、いよいよローン煉獄から抜け出すための行動プランを紹介します。
借金返済の王道とは、まず決心し、覚悟を決めて地道な行動を積み重ねるということしかありません。長く、険しい道のりですが、がんばっていきましょう。
1.支出の優先順位をつける
今までは、欲しいものはあまり考えずになんとなく買っていたようですが、これからは意識的にお金を使う、という習慣に変えていきましょう。それには支出項目の優先順位をつけることが効果的です。例えば、1.家賃、2.食費、3.光熱費、4.学習費、5.被服費…といったように、通常の生活を営むために最低限必要な支出や自分にとってどうしても必要なものから順位をつけていきます。これをすることで、自分の価値観を再確認することもできるかもしれません。そして優先順位の低いものは思い切って削ってしまいましょう。
2.収入を増やすよう努力する
残業を増やしてみる。あるいは逆に効率的に仕事を終わらせ、空いた時間にアルバイトをしてみる。ネットオークションで不用品を売ったり、アフェリエイトなどを試してみたりしてみる、などいろいろ考えて、少しでも収入を増やす努力をしてください。
以上の方法で、毎月1~数万円の余分なお金を手に入れましょう。
3.集中して繰上げ返済をする
ここで、大変な努力をして得られたその数万円のお金をそのまま消費に回してしまってはいけません。
繰り上げ返済が可能かどうかを業者に確認し、金利の高いものから順に月々の返済額に加算して返していきます。(振込先を聞いて毎月機械的に返済)。あくまでも「金利の高いものから返済」です。金額の多いところから返済しようとする人がいますが、そこは間違えないでくださいね。一番高金利のローンが返済できたら、もう使えないようにそのカードにはさみを入れましょう。
4.1~3を繰りかえす
同じように、次は、最初のカードの返済に充てていた分と、1.2.の方法で得られた毎月1~数万円のお金を併せて、次のローンを集中的に返済していきます。
この方法を毎月きちんと繰り返していただければ、借金は目に見えて減って行くはずです。
5.将来の計画を立て、貯蓄を始める
ローンをすべて返済し終わったからといって、すぐに生活を元に戻してはいけませんよ。
そこでやっと今までのマイナスが0に戻ったに過ぎません。せっかくお金が貯まる習慣が身についたのですから、今までローンを支払っていた部分は、できるだけ貯蓄に回しましょう。
ここから、あなたの本当の将来プランがスタートするのです。
・「決心し、覚悟を決めて地道な行動を積み重ねる」これこそが借金返済の王道
・お金は意識的に使うこと、また、どうしたら収入が増えるか考えてみよう
・借金完済時はゴールではなく新たなスタート、せっかく身についた習慣を大切に
作者: ジョージ・S. クレイソン
出版社/メーカー: キングベアー出版
価格: ¥1,575 (税込み)
古代都市バビロンを舞台に語られる、資産家になるための法則本。この中にも、借金返済のための興味深いエピソードが書かれています(第八話)。ローン煉獄から抜け出すためのひとつのヒントになるかもしれません。
Vol.18 ローン煉獄から抜け出す方法
Q.私は専門的な仕事に就いているので、同年代の人と比べるとけっこう稼いでいると自覚しています。ですから今までお金のことはあまり考えないで、好きなように使っていました。でも、最近なんとなく財布の中の現金が少なくなってきて、給料日前はたまにキャッシングも利用するようになっています。よくよく考えてみると、所持している6枚のカードでそれぞれ毎月1~2万円リボルビング払いをしていました。そこで、ローンの残額を改めて確認したら驚くほどの金額に…。これからどうなるのか不安です。(Nさん、31歳、一部上場企業勤務)
タイトル中の「煉獄」とは、天国と地獄の間にあるという場所。つまり、まだ地獄には至っていないけれど、ちょっと危ないかもというニュアンスで、相談者Nさんのような立場を「ローン煉獄」と名付けてみました。
Nさんのように、年収はそこそこ高いのに、(だからこそ?)お金には無頓着で、「自分は稼いでいるからこのくらい大丈夫」と、本当は不必要なローンに縛り付けられている人は意外と多いのです。
ひとくちにローン(借金)といっても、よい借金と悪い借金があります。ごく単純に分類すれば、マイホーム購入や事業用の資金など、将来的に資産になるもののための借金は【よい借金】といわれます。
これに対し、ブランド物や、高級車、生活費などの、単なる「消費」に当てられる借金は単にお金が出て行くだけの【悪い借金】なのです。そしてこの「消費」のための借金は、最終的には自分の首を絞めることにもなりかねません。
何度もいっていますが、お金の基本は整理整頓!です。これはもちろん借金の場合も当てはまります。そこで、Nさんにも整理整頓のため、自分の抱えているローンの一覧表を作ってもらうことになりますが、その前に、まずやっていただきたいことがあります。
それは決心するということです。
<もうこれ以上、消費のためのローンを組まない!><節約をし、お金を完全に自分でコントロールする!>。
「お金のことでもう悩みたくない」と思うなら、上記のような決心をしっかり固め、覚悟を持って実際に行動に移していくことが必要です。そのためには、想像できる最悪の状況(地獄)と、借金がなくなった後の幸せな状況(天国)を対比させてモチベーションを上げる、といった工夫も必要でしょう。
決心と覚悟が固まったら、ローンの一覧表を作りましょう。
できるだけ詳しく「借入先・借入日・借入金額・返済額・金利等」をまとめた表を作成します。これによっていったい自分がどの位の金利で、いくら借りていて、いつまでに返さなければならないのかといった借金の全体像が初めて把握でき、今後の返済計画が立てやすくなります。また、その他関係資料の書類をまとめておくことも必要です。
ここで、一般的な借金の返済アイデアを紹介しておきましょう。
・親にお金を貸してもらう
出ました!パパ・ママ銀行。親に余裕があるなら一番手っ取り早く、安心な方法ですね。この際、少しくらいのお小言は甘んじて受けましょう。ただし、税務署に目をつけられないように、税金対策はきちんとね。
・高い金利のものから低い金利のものにローンをある程度まとめる
可能であれば、金利の高いローンをまとめて、銀行等の比較的低金利のローンで返してしまうという方法があります。
・資産・不動産を処分する
もし、お金に換えられるものがあるなら、これも有効な方法です。
以上の方法が使えないようでしたら、やはり少しずつ返していくしかありません。次回は、地道に返していくための行動プランを説明します。
・収入の多い人でも、無自覚なローンは危ない。油断大敵!
・借金にはよい借金と悪い借金がある
・まずは、「お金に対するコントロールを取り戻す」という決心が重要
・お金の基本は整理整頓。借金も例外ではありません
作者: 宮部 みゆき
出版社/メーカー: 新潮社
価格: ¥900(税込み)
長編ミステリー。普通の人も、ほんのちょっとしたことで陥ってしまうカードローンの恐ろしさがよく描かれています。クレジットカードを持つ人なら、読んでおいて損はありません。
Vol.17 保険に入っていれば本当に安心?
Q.現在、両親と同居しているOLです。以前はお金も自由に使えるし、お気楽だったのですが、最近「結婚しないまま、親が亡くなったらどうしよう」とか、「ひとりになって働けなくなったらどうすればいいの」など、ふとした瞬間に不安になってしまいます。そこで、いざという時、お金がもらえれば安心なような気がして、勧められるままいろいろな保険に入りました。そんなことを友達に話したら、「それって、保険入りすぎじゃない」と手痛い指摘が…。私の行動は間違っていたのでしょうか?(Bさん、34歳、メーカー勤務)
このBさん、やたら特約のついた医療保険と、いくつもの細かな傷害保険、そしてなぜか保険金が5500万円も出る死亡保険に入っていらっしゃいました。ですから、毎月の保険料もけっこうな金額になっています。扶養家族もいないし、ご両親も経済的に自立されているし、ご自身が亡くなった時にそんな大金があっても仕方のないように思われますが…。
そもそも、「保険」とは、万一の時に、『経済的な』リスクをカバーするものです。
いざという時、ある程度のお金が手許に入ってくれば、ほっとする部分もあるかもしれませんが、それはあくまでも二次的なもの。残念ながら保険では精神的なものまでカバーすることは難しいといえます。
ですから、保険に加入した、ということだけでなんとなく安心してしまうのは、ちょっと待ってくださいね。
安心感を持っていいのは、まず、あなたの選んだ保険がきちんと目的に合ったものであること。それによってあなたの経済的リスクをきちんとカバーできる、といったことを納得した上でのことです。
まずは、保険に入る前に、その加入目的、つまり自分の将来にどのような経済的リスクがあるかを洗い出してみましょう。
しつこいようですが、保険でカバーできるのはあくまで「お金」なので、もし貯金がすごくあるとか、親が資産家なのでお金には別に困らないというのであれば、保険は必要ないということになりますね。
次に、その加入目的にふさわしい保険を選んでいきます。
扶養家族がいるなら、残される家族のための保障が必要でしょうし、貯金もあまりないし、公的な医療保険も今後心配だ、というなら、医療保険を選ぶ、といった具合になります。
ここで気をつけなければいけないのは、その経済的リスクを、すべて保険で賄おうと考えること。そんなことをしたら、保険料の負担は莫大な金額に…。(-_-;)
将来のリスクに備えるために現在の生活を犠牲にしたのでは本末転倒ですね。
いざという時に保険だけに頼るのではなく、貯蓄も取り崩せるように、保険と貯蓄のバランス(できれば貯蓄を大目に)もきちんと考えておきましょう。
お金は保険と貯蓄で何とかなっても、精神的なものはやはり人間関係がものをいうような気がします。「お金がなくても人脈さえあればなんとかなる」なんて言う人もいるくらいですから、日頃からよい人間関係作りに励んでおきましょう。これも立派なリスクヘッジですよ~。
・保険の目的は経済的なリスクの補填
・まずは、加入目的をはっきりさせましょう
・保険と貯蓄のバランスもよく考えて!
・よい人脈もリスクヘッジのひとつ、いざという時はお金より頼りになるかも
作者: 石川 由紀
出版社/メーカー: 情報センター出版局
価格: ¥ 1,470 (税込み)
「老後が不安」という人に、ぜひ読んで欲しい一冊。この本にあるような具体的な情報が、漠然とした不安をひとつひとつ取り除いてくれます。
Vol.16 秋の夜長におススメ、お金の古典編
前回に引き続き、読書の秋におススメのお金に関する本をご紹介。
今回は、時代を思い切ってさかのぼり、江戸時代前期。日本で始めて経済を文学の題材にしたといわれる井原西鶴にスポットを当てます。
西鶴は、1642年大阪生まれ。もとは松尾芭蕉と同門の俳諧師であり、互いにライバル意識を持っていたようですね。西鶴というと『好色一代男』とか『好色五人女』といった「好色もの」が有名ですが「町人もの3部作」と呼ばれる『日本永代蔵』『世間胸算用』『西鶴織留』には、お金にまつわる町人たちの喜怒哀楽がいきいきと描かれています。
なかでも、『 日本永代蔵 』は、徹底的な節約で金持ちなった話や、新しいアイデアで人気の店を作った話、詳しい情報収集で儲ける話、また、逆に金の亡者になってあわれな末路を辿る男の話などが語られ、読み応えも充分です。
まず、西鶴が勧めるのが「始末」= 節約。《士農工商のほか出家神職に限らず、始末大明神のご託宣にまかせ、金銀を溜むべし。これ、二親の外に命の親なり》(巻1-1)ともかく身分に関係なく、誰でも節約してお金を貯めなさいといっているわけですね。しかもお金は「命の親」であるとさえ言っています。
江戸時代、この本の読者はほとんどが町人です。武士や農民と違い、町人には武力も権力もなく、農地という生産力もありません。つまり、町人にとっては自分が手にしたお金だけが唯一のよりどころなのですね。それはもはや政府や会社をあてにできなくなった現在の私たちにも通じるところがあるのではないでしょうか。
その他にも《銀(かね)さへあれば、何事もなる事ぞかし》(巻3-2)お金さえあればどうにでもなる。とか、《世に銭ほど面白き物はなし》(巻4-3)世の中にお金ほどおもしろいものはない。など、ほとんど「お金がすべて」といっているようにも思えますが、当然の事ながらそんな一方的な主張ばかりでは、古典文学として現代まで読み継がれるような作品にはなりえません。
《世の中に、借銀の利息ほど、おそろしき物はなし》(巻1-1)「人類最大の発明は複利である」といったのはアインシュタイン博士ですが、西鶴も当然のことながら複利の力、特に借金の利子の恐ろしさについてはちゃんと心得ています。
また、ちょっとしたきっかけから遊興にはまり、家を潰してしまった話や、帳簿もきちんと合わせないようなずさんな経営で家業が傾いてしまった話、金儲けに走るあまり、粗悪品を客に売りつけ、最終的にはみじめな境遇に陥ってしまう話など、「お金」というものが持つ負の側面にも、きちんと踏み込んで、読者に注意を促しています。
もちろん失敗例だけではなく、ビジネスの成功例も豊富に紹介されています。有名なのは、現在のデパート(三越)の前身となった三井九郎右衛門の話(巻1-4)。今では当たり前の現金取引や商品ごとのスペシャリストの育成、急ぎの注文にも即応するなど、以前とはまったく異なったマーケティング戦略で成功し、1日あたり約150両も儲けたとあります。
『日本永代蔵』という書名は、日本中の商人たちの成功事例や失敗事例を調べ、後の人のために永久に保存して、必要な時にいつでも取り出して見ることができるように、との思いからつけられたものです。
ですから、その内容は現代にも通じることが多く、お金に関心のある人なら一度は目を通しておいても損はないでしょう。
実際、読み始めると、けっこうおもしろいですよ。
・井原西鶴は、日本で始めて経済を題材にした人気作家
・本業を大切に、節約でお金を貯めていくというのが基本
・アイデア勝負の事例も豊富、マーケティングの参考にもなります
作者: 谷脇 理史
出版社/メーカー: 清文堂出版
価格: ¥2,940 (税込み)
国文学の研究者でもない限り、原文で読むのはなかなか難しいことです。現代語訳も品薄のようなので、とりあえずこの本で西鶴の魅力の一端に触れてみてはいかがでしょうか。
Vol.15 秋の夜長におススメのお金の本
Q.本が好きなので、いつもコラムの最後の「幸せを呼び込む1冊」のコーナーを楽しみにしています。でもちょっと固めの本が多いような…。もっと読みやすくて、ためになるお金に関する本を教えてください。(Yさん 38歳 主婦)
お金の本というと、つい投資や利殖のノウハウ本やビジネス本、経済学的な本をイメージしてしまいますが、実は小説という選択肢もあります。ストーリーがあるのでわかりやすく、登場人物を通して生きた経済というものを学ぶこともでき、まさに一石二鳥。
そこで今回は、読書の秋にふさわしい読み応えのある経済小説をご紹介しましょう。
私が初めて読んだ経済小説は、『白い巨塔』でおなじみ、山崎豊子の『華麗なる一族』です。ずいぶん昔に読んだのですがまだ内容を憶えているということはそれだけインパクトが強かったということですね。
当時、一般人にはほとんど知られていなかった銀行業界の内情をかいまみることができました。また、この中で語られている銀行再編が、その後次々と現実のものになっていったことにも驚かされました。現在の銀行の内情を知るために読むにはちょっと古いのですが、小説としてはおもしろく、ぐいぐいと引き込まれ、その長さ(上・中・下3巻)も苦になりません。この作品がおもしろいと思った人は、同じく大作の『不毛地帯』や『沈まぬ太陽』などもいかがでしょうか。
他にも有名な経済小説の書き手としては、城山三郎『官僚たちの夏』や高杉良『虚構の城』、堺屋太一『油断!』、黒木亮『トップ・レフト』(『』内は著書の一例)などが挙げられますが、最近私がよく読んでいるのは幸田真音です。
女性が経済小説の主人公になることはあまりなかったのですが、彼女の作品にはよく出てきます。その分、私たち女性読者にも物語が身近に感じられるようになったのはうれしい限りです。おススメは『日銀券』『日本国債〈上〉』、日本の金融市場のしくみがなんとなくわかったような気になれます。これでも読みにくい、という方には『投資アドバイザー 有利子』といった軽い読み物もあります。ただし、小説の完成度という面から見ると、残念ながら前掲の山崎豊子らには及ばずといったところですね。
「経済小説は用語が難しくてちょっとね…」という人には、石田衣良の『波のうえの魔術師』をおススメ。タイトルの「波」とは株式の罫線とも取れるし、市場の波ともイメージできます。主人公の青年が謎の老人とともに大手銀行に復讐を仕掛けるといったストーリーですが、株を始めようとする前に読めば、ある程度は株取引の雰囲気がつかめるかもしれません。
とはいえ、経済小説といえどもあくまでもフィクションであり、物語です。何冊か読んだだけですべて分かった気になって本格的にいろいろな投資を始める、なんてことのないようにお願いしますね。
・経済小説は、手軽に生きた経済を学べる手段のひとつ
・最初は用語が難しく感じる事もあるが敬遠せずに、まずは1冊読んでみよう
・作品はあくまでフィクション、実際の投資はきちんと勉強してから
作者: 斎藤 貴男
出版社/メーカー: 日経BP社
価格: ¥ 1,470 (税込み)
経済小説といっても、どんなものから読んでいけばいいかのわからない、といったときの参考に。金融業界からゲーム業界、企業犯罪から税制まで、様々なものを扱った作品が紹介されています。