Vol.54 私の年金どうなるの?
Q.連日、年金の記録漏れ問題が報道されていて、私も心配になりました。というのも、学生時代に、親が代わって年金を納付してくれていたような記憶がありますが、数年前に両親が亡くなっており、そのことが確認できなくなってしまっているからです。もうしばらく待って、役所の窓口が落ち着いてきたら相談に行こうと考えていますが、実は年金制度についてほとんど知らないことに気づきました。まずは基本的なことを教えてください。(Sさん、34歳、会社員)
年金記録漏れ問題、選挙前というタイミングもあり大騒ぎですね。どういうことか、ちょっとおさらいしておくと、社会保険庁の年金記録データに、納付者が確定できていない過去の年金記録が約5000万件あり(昨年6月時点)、そのうち60歳以上の約2880万件の記録について年金の支給漏れの疑いがあることです。また、加入記録が漏れていると、保険料を払っていても加算されず、年金の受取額が減る恐れもあります。日本の人口が約1億2千7百万人ですから、その問題の規模の大きさに改めてドキッとさせられます。
ですから若い人でも、今回の相談者のように学生時代に年金を払っていた人はもちろんのこと、姓名の読み方が間違えられやすい人、結婚して姓が変わった人、転職した人なども念のため確認しておいたほうがよさそうです。IDとパスワードを登録すれば、インターネットでも今までの年金加入記録が確認できるサービスもあるようです。
そもそも、公的年金制度は、5年に一回見直しが行われ、その都度少しずつ改正されます。またそれらに伴う経過措置も多いので、素人ではよくわからない複雑な制度になってしまいました。基本的には、すべての国民が加入する共通の基礎年金(国民年金)があり、その上に厚生年金や共済年金などの報酬に比例した年金を支給する、いわゆる2階建てと言われる制度になっています。(→公的年金制度の体系)
とはいえ、私たちが知りたいのは制度の詳しいしくみではなく「私は年金をもらえるの?」とか「いくらもらえるの?」ということですね。
まず、国民年金(老齢基礎年金)は原則として、25年以上保険料を納めた人(資格期間が25年以上ある人)が、65歳から(希望により繰り上げ、繰り下げ支給あり)もらえます。その金額は、平成19年度の場合加入可能年数(20~60歳まで40年間)すべて保険料を納めた人で年額792,100円となっています。
つまり、20歳から60歳まで40年間きちんと保険料を払った人については、年に80万円弱、月々に直すと約66,000円の年金が支給されるということですね。
次に 厚生年金(老齢厚生年金)です。こちらも原則として、厚生年金の被保険者期間が1ヶ月以上あり、なおかつ老齢基礎年金を受けられる人(つまり、やっぱり25年以上保険料を納めているってことですね)が、65歳から(ただし生年月日に応じて65歳以前でも部分年金等をもらえる人もいます。)もらえます。
その金額の計算方法は、数式が複雑なのと、就職してから退職するまでの平均給与額のようなものを出す必要があるのでここには載せません。それよりも、いくつか年金額をシュミレーションできるサイトがあるので、そちらで国民年金と合わせて計算してみてください。
すでに「自分のお金は自分で守る」時代になっています。それは年金についても例外ではないと、今回の騒動で再認識させられました。「まじめに働いてきちんと年金を納めていた人がバカを見る」なんて世の中にはしたくありませんね。お役所といえども何かおかしなところはないか、しっかり監視しておくといった、私たち自身の責任も問われているようです。
・公的年金の支給資格は25年以上年金保険料を納めたことと、65歳以上であること。
・自分のお金は自分で守る時代、年金も例外ではない。
・少しでも気になる人は折をみて確認しておきましょう。
作者: 望月 実
出版社/メーカー:日本実業出版社
価格: ¥ 1,470 (税込)
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社保庁のミスで、25年以上払っているのに、24年しか払っていませんと言われたら、ショックですよね。海外では、そんなミスとか、有るのだろうか?
by (2007-07-24 23:11)
カブ様、コメント及びniceありがとうございます。
>社保庁のミスで、25年以上払っているのに、24年しか払っていませんと言われたら、ショックですよね。
そういう人も意外と多いのかもしれませんね。今回のことを契機に「雨降って地固まる」となることを願っています。
by 金子祐子 (2007-07-30 16:35)